「教員を辞めて後悔した」という話は確かにあります。ただ、後悔した人と、しなかった人の違いはどこにあるのか。本サイトに掲載している229件の記録と、公開されている統計から整理します。結論から言うと、後悔しやすいのは「何かから逃れること」だけを目的にした転職です。
集計対象:教員転職データベース掲載事例229件/集計日:2026年10月23日
実際、転職した人は後悔しているのか
掲載229件の転職後の満足度は、5段階で平均3.9でした。満足している人が多数派ではありますが、全員が満足しているわけではありません。3.0や3.5をつけている事例もあります。
注目したいのは、年収が下がった115件を含めての平均が3.9だという点です。年収は平均で30万円下がっている一方、残業時間は月40.0時間減っています。金額を失って時間を得た、という交換に納得できているかどうかが、満足度を分けているように見えます。
後悔しやすいのはどんなケース?
掲載事例の「転職後に感じたギャップ」を読むと、つまずきの型がいくつか見えてきます。
- 「辞めること」が目的になっていた|今の状況から離れたい気持ちが強いまま動くと、転職先を条件で選びきれません。結果として、次の職場でも同じ不満に行き当たることがあります。
- 年収の下げ幅を具体的に計算していなかった|「多少下がってもいい」と考えていたが、実際に手取りが減ってから生活設計が苦しくなった、という型です。住宅ローンや教育費がある場合は特に重くなります。
- 評価のされ方が変わることを想定していなかった|学校では一年かけて育てるのが当たり前でしたが、民間では四半期ごとに結果を問われる職場もあります。「成果が数字で出るぶん、悪いときの居心地は学校より厳しい」という記録が複数あります。
- 教える仕事が好きだったことに、辞めてから気づいた|嫌だったのは労働時間や事務作業であって、授業そのものではなかった、というケースです。
後悔しなかった人は何をしていたか
逆に、満足度が高い事例に共通しているのは次の点です。
- 判断の軸を先に決めていた|「同じ時間働いたときの手取りで比べる」「5年後にどうなっているかで比べる」など、自分の基準を1つ持っている人は、提示された年収に振り回されていません。
- 手放すものと手放さないものを分けていた|授業をすることは手放す、子どもに関わることは残す、というように。この線引きがある人は、転職先の選び方がぶれません。
- 在職中に動いていた|辞めてから探すより選択肢を広く持てます。掲載事例の転職活動期間は平均5.5ヶ月で、多くが在職中の活動です。
- 教員経験を相手の言葉に翻訳していた|「担任」「教科指導」と書くのではなく、何人を相手に、どんな課題を、どう解決したかで説明した人は、選考の通り方が変わったと記録しています。
「教員に戻りたい」と思っている人はいる?
掲載事例の「教員に戻りたいと思うか」という項目には、次のような回答が並んでいます。
- 戻りたいとは思わないが、授業をすること自体は好きだったので、関わり方は探していきたい
- 教壇に戻るつもりはないが、非常勤で週一回だけという形なら考える
- 戻りたいとは思わないが、学校の仕事を否定するつもりもない。合う人には良い仕事だと思う
- 制度が変わって働き方が変わるなら、可能性はゼロではない
「仕事は嫌いではなかったが、働き方が続けられなかった」という受け止め方が目立ちます。教員という仕事そのものを否定している記録は、ほとんど見当たりません。
後悔を減らすために、転職前に確認しておくこと
- 本当に嫌なのは何か|授業か、部活動か、事務作業か、人間関係か、労働時間か。ここを分けずに「学校が嫌」とまとめてしまうと、次でも同じことが起きます。
- 年収が下がった状態で数年やっていけるか|掲載事例の平均は23万円の減少です。手取りベースで試算しておいてください。
- 退職手当と共済|勤続年数の区切りで支給率が変わります。辞める時期が数ヶ月違うだけで金額が変わることがあります。
- 復職の可能性|教員免許は失効しません(更新制は廃止されています)。講師として戻る道は残ります。「二度と戻れない」わけではない、と知っておくだけでも判断は変わります。
それでも辞めたほうがいい場合
ここまでは「よく考えてから」という話をしてきましたが、例外があります。体調を崩している場合です。
文部科学省の調査では、精神疾患による病気休職者数は令和5年度に7,119人と過去最多を記録しました。全教育職員の0.77%にあたります。掲載事例にも「体調を崩したことがきっかけ。働き方を変えないと同じことを繰り返すと思った」という記録があります。
この場合、後悔を心配して無理に続けるほうがリスクです。まず休職や病気休暇の制度を確認し、動けるようになってから次を考える順番で構いません。
よくある質問
教員を辞めて後悔する人は多いですか?
掲載229件の転職後の満足度は平均3.9(5段階)でした。満足している人が多数派ですが、3.0や3.5をつけている事例もあります。「後悔する人が多い」とも「いない」とも言えないというのが正直なところです。
年収が下がったことを後悔していますか?
掲載事例では、年収が下がった115件を含めて満足度の平均は3.9です。「年収は少し下がったが、19時に家にいる生活のほうが自分には合っていた」「持ち帰りの仕事が無くなったのが一番大きい」といった記録が目立ちます。ただし、下げ幅を事前に計算していなかった場合は苦しくなります。
民間に行って通用しなかったらどうしよう
掲載事例で評価されたと記録されているのは、学級運営をマネジメント経験として説明したこと、保護者・管理職・関係機関の間に立って調整してきたこと、限られた時間で段取りを組んできたことです。通用するかどうかは「教員だから」では決まりません。何をやってきたかを説明できるかどうかで決まります。
辞めたあとに教員に戻れますか?
免許は失効しないため、講師としての復帰は可能です。正規採用として戻る場合は採用試験を受け直すことになります。年齢制限を撤廃・緩和している自治体も増えています。
実際の事例で確かめる
各事例には、転職後に感じたギャップ、働き方の変化、教員に戻りたいと思うかまで記録されています。満足度も5段階で載せています。
あわせて読みたい:教員から転職すると年収はどうなる?/教員の転職先はどこ?/教員の転職事例まとめ
出典
- 文部科学省「令和5年度 公立学校教職員の人事行政状況調査」
- 教員転職データベース掲載事例229件の集計(集計日:2026年10月23日)
判断の材料をそろえたい方は転職して良くなること・悪くなることもあわせてどうぞ。
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