退職を決めたあと、実際に何をどの順番で進めるのか。この記事では、公立学校の教員が退職するときの手続きを、時系列で整理します。自治体によって細部は違うので、最終的には所属の事務室と教育委員会の窓口で確認してください。ここでは全体の流れと、見落としやすい点を押さえます。
全体の流れ
| 時期 | やること |
|---|---|
| 9〜12月 | 管理職に口頭で意向を伝える |
| 意向を伝えたあと | 退職願を提出する(様式は自治体指定) |
| 1〜3月 | 後任への引き継ぎ、指導要録などの整理 |
| 3月 | 退職辞令の交付。備品・鍵・IDの返却 |
| 3〜4月 | 共済・年金・保険の切り替え手続き |
| 翌年2〜3月 | 確定申告(年の途中で辞めた場合) |
掲載事例229件のうち、年度末(3月末)での退職が174件、年度途中が55件です。
退職願はいつ、どう出すか
まず口頭で管理職に伝え、そのあと書面を出すのが一般的な順序です。いきなり書面を出すと角が立ちます。
- 伝える相手|まず校長。教頭に先に相談する人もいますが、正式には校長です
- 時期|翌年度の人事が動き出す前。9〜12月に伝えている事例が多数です
- 様式|自治体で指定の様式があることが多いので、事務室に確認してください
- 理由の書き方|「一身上の都合により」で足ります。詳細を書く必要はありません
引き止められることはありますが、退職は労働者の権利です。学校への不満ではなく「やりたいことができた」という形で話すほうが、その後の引き継ぎがスムーズになります。
退職金は、辞める時期で変わる
ここが最も見落とされやすい点です。退職手当は勤続年数の区切りで支給率が変わります。あと数か月で区切りを越えるなら、待つだけで数十万円変わることがあります。
また、年度末退職と年度途中退職でも計算が変わることがあります。辞める時期を最終的に決める前に、必ず事務室で試算してもらってください。これは誰でも依頼できます。
保険・年金の切り替え
退職の翌日から、公立学校共済組合の資格を失います。次の就職先が決まっているかどうかで、やることが変わります。
- 4月からすぐ就職する場合|転職先の健康保険・厚生年金に入ります。手続きは会社がやってくれます。空白の1日も作らないよう、入社日を確認してください
- 間が空く場合|国民健康保険(市区町村)と国民年金(年金事務所)に自分で切り替えます。退職から14日以内が原則です
- 共済の任意継続|条件を満たせば最長2年、共済の健康保険を続けられます。国保より安くなることがあるので、両方の保険料を比べてから決めてください
失業給付は受けられるのか
公立学校の教員は雇用保険に加入していないため、原則として失業給付(基本手当)は受けられません。ここは民間からの転職と大きく違う点です。
代わりに、条件を満たす場合に退職手当のうち「失業者の退職手当」が支給される仕組みがあります。退職手当の額が、雇用保険で受け取れたはずの額を下回る場合に、その差額が支給されるというものです。該当するかどうかは、退職手当の額と勤続年数によります。
これは自動では支給されません。ハローワークでの求職申込みが必要です。次が決まっていない状態で辞める場合は、退職前に条件を確認しておいてください。私立学校の教員は雇用保険に加入しているので、通常の失業給付の対象です。
税金まわり
- 住民税|前年の所得に対してかかります。辞めた翌年度も納付が続きます。収入が下がった年に前年分の請求が来るので、資金計画に入れておいてください
- 源泉徴収票|転職先の年末調整で使います。必ず受け取ってください
- 確定申告|年の途中で辞めて再就職しない場合、翌年に自分で申告します。払いすぎた所得税が戻ることが多いです
返すもの・受け取るもの
- 返す|教職員証、鍵、貸与された端末、健康保険証(本人と家族分)
- 受け取る|退職辞令、源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票、年金手帳(預けている場合)
教員免許状は返す必要はありません。失効するものでもないので、手元に残ります。将来また教壇に立つ可能性を残しておけます。
よくある質問
退職はいつまでに伝えればいいですか?
法律上は2週間前でも成立しますが、教員の場合は現実的ではありません。翌年度の人事が動き出す秋までに伝えるのが一般的です。掲載事例でも9〜12月に伝えた例が多数を占めます。
引き止められて辞められないことはありますか?
退職は労働者の権利なので、最終的に辞められないということはありません。ただし年度途中は学校の負担が大きいため、強く慰留されることはあります。早めに伝えるほど、学校も準備ができて話が進みやすくなります。
教員免許は更新しなくて大丈夫ですか?
教員免許更新制は2022年7月に廃止されました。現在は更新の手続きなしで免許が有効なままです。転職後も、免許そのものは残ります。
制度は自治体や年度によって異なります。金額や期限に関わる部分は、必ず所属の事務室・共済組合・年金事務所で確認してください。
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