教員の転職|考えることと進め方の全体像

教員の転職 考えることと進め方

教員を辞めて転職する。考えはじめた時点で、たいていの人が同じところで止まります。「自分に何ができるのか分からない」——これです。

担任、授業、分掌、部活動、保護者対応。毎日これだけのことをやっているのに、いざ職務経歴書を書こうとすると手が止まる。民間の職種名と対応していないからです。この記事では、教員の転職で実際に何を考え、どう進めるのかを、順番に整理します。

目次

まず、辞めるかどうかは後回しでいい

いきなり「辞めるか、続けるか」を決めようとすると、答えが出ません。判断に必要な材料が揃っていないからです。

順番はこうです。先に「外に出たら何ができて、いくらもらえて、どんな働き方になるのか」を調べる。決めるのはそのあと。調べた結果「やっぱり続けよう」となるなら、それも立派な結論です。転職活動は、辞めるための手続きではなく、判断材料を集める作業だと考えてください。

実際、掲載している事例229件の平均活動期間は5.5か月です。この間ずっと悩んでいたわけではなく、調べて、応募して、比べて、それから決めています。

教員の経験は、民間で何になるのか

ここが最初の関門です。教員の仕事は、そのままでは民間の職務経歴になりません。「担任をしていました」では、採用側は何ができる人か判断できません。翻訳が必要です。

教員としてやってきたこと民間での言い換え
学級担任として1年間クラスを運営30人規模の集団を、年間計画を立てて運営した経験
保護者対応・面談利害の異なる相手と、関係を切らさずに合意をつくる折衝
授業づくり相手の理解度に合わせて、内容と伝え方を設計する
校務分掌・学年運営部門をまたぐ調整と、仕組みづくり
成績処理・評価基準にもとづくデータ管理と、期限内の正確な処理
部活動の顧問目標に向けたチーム運営と、育成のマネジメント

大事なのは、盛ることではなく、同じ中身を相手の言葉で言い直すことです。やっていないことを書く必要はありません。書き方の詳細は教員の職務経歴書はどう書く?にまとめています。

どこへ行く人が多いのか

大きく2つに分かれます。

  • 教育に関わり続ける道|塾・予備校、教材制作、教育コンサルティング、学校事務、大学職員。教員経験がそのまま要件になるので、選考で説明する手間が少なくて済みます
  • 異業種へ移る道|営業、人材、IT、人事、事務など。未経験からの受け入れが広く、年収が上がる可能性もありますが、経験の翻訳が必要になります

どちらが正解ということはありません。「教育に関わりたいのか」「働き方を変えたいのか」で分かれます。職種ごとの実際の件数と年収の変化は教員の転職先はどこ?で確認できます。

年収は下がるのか

正直に書きます。下がる人のほうが多いです。掲載事例229件では、上がった70件、変わらない44件、下がった115件。平均は561万円から537万円です。

ただし年代でかなり違います。20代は下げ幅が小さく上がる人も多い一方、40代以降は転職前の年収が高いぶん、下げ幅が大きくなります。教員の給与は年齢とともに上がる仕組みなので、動く時期が遅いほど落差が出ます。

一方で、残業時間は平均で月40.0時間減っています。年収と時間、どちらを取るかという交換になります。詳しくは教員から転職すると年収はどうなる?へ。

いつ動くのがいいのか

教員の転職には、民間にはない制約が2つあります。

  • 年度の区切り|担任を持っていると、年度途中で抜けるのは負担が大きい。掲載事例でも年度末退職が174件と多数派です
  • 人事の時期|翌年度の校内人事は秋から動きます。退職の意向は9〜12月に伝えている人が多数です

4月入社に合わせるなら、夏休みのある7〜9月に活動を本格化させるのが無理のない進め方です。年代ごとの違いは教員の転職はいつがいい?で整理しています。

在職中に動くか、辞めてから動くか

原則は在職中です。理由は3つあります。

  • 収入が途切れない。焦って条件の悪い会社に決めなくて済む
  • 「やっぱり続ける」という結論を選べる。辞めてからでは戻れません
  • 公立教員には雇用保険がなく、失業給付が原則ありません。民間からの転職とは前提が違います

3つ目は見落とされがちです。次が決まらないまま辞めると、収入がゼロになる可能性があります。手続きまわりは教員の退職手続きまとめにまとめました。

例外は、体調を崩している場合です。療養が先で、転職はそのあとです。うつ・休職から転職を考えるときを参照してください。

選考で必ず聞かれること

どの会社でも、ほぼ確実に聞かれる質問が3つあります。

  • なぜ教員を辞めるのか|学校への不満で終えず、「やりたいことができた」という前向きな形に置き換える
  • 民間のスピード感に対応できるか|学校の意思決定の遅さを知っているからこそ、どう順応するつもりかを話す
  • 数字で評価される環境に耐えられるか|耐えられるかではなく、「どう向き合うか」を答える

掲載事例の選考実績は、平均で応募21社、書類通過9社、面接6社、内定2社です。書類で6割落ちるのが普通だと思っておくと、心が折れにくくなります。答え方は教員の転職面接で聞かれることへ。

ひとりで進めるか、相談するか

教員の転職は、経歴の翻訳という最初の壁が大きいのが特徴です。ここを一人で越えようとすると、書類が通らないまま時間だけが過ぎます。

総合型のエージェントは求人数が多い一方、教員の経歴を読み慣れていないことがあり、紹介が進まない場合があります。教員特化型を軸にして、総合型を1社だけ併用するのが現実的です。選び方は教員の転職エージェントの選び方にまとめました。

まず何から始めるか

  • 1. 事例を10件読む|自分に近い校種・年代の人がどこへ行ったかを見る。想像より選択肢は広いはずです
  • 2. 退職金を試算してもらう|勤続年数の区切りで金額が変わります。事務室に頼めます
  • 3. 職務経歴書を1枚書いてみる|書けないところが、そのまま調べるべきことです
  • 4. 誰かに見てもらう|自分の言葉は自分では評価できません

この4つは、辞めると決めていなくてもできます。やってみて「続ける」を選ぶなら、それは情報を得たうえでの選択です。何も知らないまま続けるのとは違います。

よくある質問

教員から転職するのは難しいですか?

職種を選ばなければ、難しくはありません。難しいのは「経歴の説明」です。掲載事例でも、応募21社に対して内定は2社。数を打ちながら書き方を直していくのが実際の進み方です。詳しくは教員の転職は難しい?へ。

教員経験しかなくても大丈夫ですか?

掲載事例の多くが、民間企業での勤務経験を持たないまま転職しています。教員一本でも問題ありません。ただし「教員しかやったことがない」と自分で言ってしまうと、その通りに受け取られます。何をやってきたかを、相手の言葉で説明してください。

教員免許は無駄になりますか?

なりません。免許自体は失効せず手元に残りますし、教育業界の求人では応募要件になることもあります。教員免許を活かせる仕事は?で扱っています。

転職して後悔しませんか?

掲載事例の転職後の満足度は5段階で平均3.9です。年収が下がった人を含めての数字です。一方で後悔している人もいます。共通しているのは「年収の下げ幅を具体的に計算していなかった」「合わない環境を選んだ」という点です。転職して後悔する人はどんな人?で分けて整理しました。

年代別・校種別の実際の記録は教員の転職事例まとめから探せます。

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この記事を書いた人

教員として教育現場での勤務を経験した後、人材業界へ転職。
転職エージェント時代には、自身の経験を活かして教員から民間企業への転職支援を多数経験し、現在は人事として採用に携わっています。
教員としての当事者視点と、転職支援・採用双方の知見を活かし、本サイトを監修しています。

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