教員の転職と育児の両立|制度は手厚い。それでも辞める理由

教員と育児は 両立できる?

育児と教員の仕事を両立できるか、転職すると何が変わるか。掲載229件では、転職後の残業時間が平均で月40.0時間減っています。一方で、教員には民間より手厚い制度もあります。この記事では、制度の比較と、実際に何が変わったかを整理します。

集計対象:教員転職データベース掲載事例229件/集計日:2026年10月23日

目次

教員の制度は、実は手厚い

先に確認しておきたいのは、制度の面では教員のほうが恵まれている場合が多いということです。

公立学校の教員民間企業(一般的な例)
育児休業子が3歳になるまで取得可能原則1歳まで(延長で最長2歳)
部分休業・時短小学校就学前まで(自治体により異なる)3歳未満が原則。以降は会社の制度次第
看護休暇制度あり制度あり(日数は法定)
復職のしやすさ身分が保障される会社の規模・方針による
自治体・企業によって内容は異なります。必ず個別に確認してください。

つまり、制度だけで比べると転職は不利になりやすいのが実際です。それでも転職が選ばれているのは、制度以前に日々の時間が確保できないためです。

問題は制度ではなく、日々の時間

文部科学省の教員勤務実態調査(令和4年度)では、平日1日あたりの平均在校等時間は小学校で10時間45分、中学校で11時間1分です。月の時間外勤務が45時間を超える教員は小学校で64.5%、中学校で77.7%にのぼります。

掲載事例の「転職を考えたきっかけ」にも、次のような記録があります。

  • 部活動で土日が埋まる生活が続き、家族と過ごす時間を先に考えるようになった
  • 子どもが生まれたことで、この働き方を続けられないと感じた
  • 持ち帰りの仕事が常態化していて、家にいても仕事をしていた

制度で休みが取れても、復帰したあとの日常が変わらない。ここが判断の分かれ目になっています。

転職すると時間はどう変わる?

掲載229件では、転職後の残業時間が平均で月40.0時間の減少。年間にすると約466時間です。

そのうち、転職後の残業が月20時間以下になった事例は32件あります。多いのは次の職種です。

掲載事例には「土日が完全に自分と家族の時間になった」「家族と夕食を一緒に食べられるようになった」「持ち帰りの仕事が無くなったのが一番大きい」という記録があります。

逆に、コンサルタントや営業職は残業が比較的長くなります。時間を優先するなら、職種選びの段階で分ける必要があります。

年収は下がる。そのうえでどう考えるか

掲載事例の年収は平均で561万円から537万円へ、23万円の減少です。育児中の転職では、この下げ幅が生活に直結します。

判断の材料になるのは次の3点です。

  1. 時間あたりで比べる|年収が30万円下がり、年間466時間が戻る。この交換をどう見るか。掲載事例では「同じ時間働いたときの手取りで考えると納得している」という記録があります。
  2. 保育料や学童の費用|勤務時間が短くなると延長保育の費用が下がることがあります。手取りだけでなく、支出側も含めて試算してください。
  3. 数年後の見通し|教員は年齢とともに給与が上がりますが、民間は評価によって差がつきます。入社3年後にどうなっているかを面接で聞いておくと判断しやすくなります。

動くタイミングをどう決めるか

掲載事例の転職活動期間は平均5.5ヶ月です。育休中に情報収集を始め、復職の可否と合わせて判断する進め方もあります。

  • 育休中に動く|時間は作りやすい一方、面接では復職の意思について聞かれます。
  • 復職してから動く|働き方の実態を確かめたうえで判断できます。ただし時間の確保が難しくなります。
  • 年度末に合わせる|掲載229件のうち90件が年度末退職です。詳しくは 教員はいつ辞めるのが現実的? をご覧ください。

よくある質問

育休中に転職活動をしてもいいですか?

禁じられてはいません。ただし育児休業給付金は「復職を前提」とした制度であり、転職が決まった時点で受給の要件から外れます。手続きと時期については、必ず事務室や共済の窓口で確認してください。

転職先で育休は取れますか?

法律上は、入社1年未満でも取得できる場合があります(労使協定で除外されていない場合)。ただし会社によって運用は異なるため、選考の段階で実績を確認しておくと確実です。

時短勤務ができる転職先はありますか?

3歳未満の子については法定の制度があります。それ以降は会社の制度次第です。求人票に書かれていない場合も多いので、面接で「小学校入学後も時短が使えるか」を聞いておくと差が見えます。

教員のまま働き方を変える方法はありませんか?

あります。部分休業の取得、部活動顧問の負担軽減の相談、校種や自治体を変える異動希望など。転職より先に、これらを検討する価値はあります。特に部活動が負担の中心である場合、顧問の変更で状況が変わることがあります。

働き方が変わった事例を見る

各事例には、転職前後の残業時間と「働き方・生活はどう変わったか」が記録されています。

あわせて読みたい:30代の教員は転職できる?/教員から転職すると年収はどうなる?

出典

  • 文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)確定値」
  • 教員転職データベース掲載事例229件の集計(集計日:2026年10月23日)
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この記事を書いた人

教員として教育現場での勤務を経験した後、人材業界へ転職。
転職エージェント時代には、自身の経験を活かして教員から民間企業への転職支援を多数経験し、現在は人事として採用に携わっています。
教員としての当事者視点と、転職支援・採用双方の知見を活かし、本サイトを監修しています。

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