教員から転職すると年収はどうなる?掲載事例の実データで検証

教員が転職すると 年収はどうなる?

結論から言うと、転職した直後は下がることのほうが多いです。本サイトに掲載している231件では、年収は平均で562万円から537万円へ、24万円の減少でした。231件のうち117件が減少、70件が増加、44件が変わらずという内訳です。

ただし、下がり方は年代と職種によってはっきり違います。そして残業時間は平均で月40.0時間減っています。金額だけを見るか、時間あたりで見るかで、評価は変わります。

集計対象:教員転職データベース掲載事例231件/集計日:2026年10月24日

目次

そもそも教員の年収はいくら?

公立の小・中学校教員の平均年収は、年代別におおよそ次のようになります。

年代小・中学校高等学校
20代前半約418万円約415万円
20代後半約469万円約461万円
30代前半約530万円約523万円
30代後半約590万円約582万円
40代前半約689万円約682万円
出典:賃金構造基本統計調査等をもとにした公開集計。賞与は月給の約4.5か月分として算出されています。

ポイントは賞与の厚さです。期末手当・勤勉手当を合わせると年間で月給の約4.5か月分になります。つまり年収は「月給 × 約16.5」で計算されます。月給33万円なら年収は約545万円、月給38万円なら約627万円です。民間企業の賞与が2か月前後の会社も多いことを踏まえると、同じ月給でも年収に差が出ます。

また、特別支援学校は他の校種より高くなります。特殊教育に関する手当が加わるためで、同じ年齢でも小・中学校より1割程度高い水準になることがあります。

なぜ転職すると下がるのか

理由は3つあります。

  1. 未経験としての採用になるから|教員としての勤続年数は、異業種では「その職種の経験年数」としては数えられません。30代でも未経験入社の水準から始まることが一般的です。
  2. 賞与の月数が下がるから|前述のとおり教員は約4.5か月分。転職先が2か月であれば、月給が同じでも年収は2割以上下がります。
  3. 手当がなくなるから|義務教育等教員特別手当、教職調整額、地域手当、住居手当など、教員には複数の手当が乗っています。これらは転職先には存在しません。

年収が上がるのはどんなケース?

下がることが多い一方で、上がるケースもあります。共通しているのは「成果が金額に直結する仕組み」か「経験がそのまま値段になる職種」のどちらかであることです。

  • 成果給の比率が高い営業職|特に教育系サービスの法人営業は、学校の事情がわかることが直接の武器になります。基本給は下がっても、インセンティブで戻す形です。
  • コンサルタント|経験年数と論理的な整理の力が評価される領域で、30代後半以降で上がる例があります。
  • 専門性がそのまま接続する職種|情報科の教員からITコンサルタント、理科の教員から技術系の職種など、教科の専門性が職務要件と重なるケースです。

逆に、事務・バックオフィスや、教育業界内でも講師・編集職は、金額としては下がりやすい傾向があります。時間や働き方を優先した選択になることが多い領域です。

年代によって下げ幅はどう違う?

掲載事例を年代別に集計すると、年齢が上がるほど下げ幅が大きくなる傾向が出ています。教員の給与が年齢とともに上がる一方、転職先では未経験としての採用になるためです。

年代件数年収の変化(平均)上がった件数
20〜24歳16件456 → 451万円5件
25〜29歳65件497 → 513万円36件
30〜34歳69件549 → 540万円20件
35〜39歳39件603 → 560万円5件
40〜44歳25件663 → 571万円2件
45歳以上17件715 → 598万円2件
集計対象:掲載事例231件/集計日:2026年10月24日

目を引くのは25〜29歳と30〜34歳です。下げ幅が小さく、年収が上がった件数も多いのがこの年代です。教員としての経験が説明できる年数になっている一方、未経験からの育成対象としてもまだ受け入れられやすい年代である、ということかもしれません。

校種によっても違う

校種件数年収の変化(平均)
特別支援学校20件683 → 591万円
高専・大学13件680 → 621万円
中学校71件550 → 539万円
高等学校63件551 → 534万円
小学校51件547 → 515万円
幼稚園・認定こども園13件431 → 465万円
集計対象:掲載事例231件/集計日:2026年10月24日

特別支援学校が最も下げ幅が大きく、93万円でした。特殊教育に関する手当が乗るぶん転職前の年収が高く、そのぶん落差が出ています。逆に幼稚園・認定こども園は平均で11万円上がっています。もともとの水準が低いぶん、転職で改善する例が多い校種です。高専・大学の44万円が小さいのは、専門性がそのまま職務要件に接続しやすいためと考えられます。

時間あたりで比べると見え方が変わる

年収だけを並べると下がって見えますが、働いた時間で割ると評価が変わることがあります。

文部科学省の教員勤務実態調査(令和4年度)によると、平日1日あたりの平均在校等時間は小学校で10時間45分、中学校で11時間1分です。月の時間外勤務が45時間を超える教員の割合は小学校で64.5%、中学校で77.7%。80時間を超える教員は小学校で28.2%、中学校で57.7%にのぼります。

本サイトの掲載事例では、残業時間は平均で月40.0時間減っています。年収は平均30万円下がっていますが、年間では約466時間が手元に戻っている計算になります。この時間をどう評価するかは人によって違いますが、金額だけで比較すると判断を誤ることは確かです。

なお、年収が上がった70件は、法人営業(6件の平均で520→570万円)や経営・事業企画(6件の平均で558→605万円)のように、成果が数字で表れる職種に偏っています。職種を選ばずに上がるわけではないと考えておくほうが現実的です。

年収以外に確認しておきたいもの

提示された年収の額面だけでなく、次の項目も比べておくと、転職後のギャップが小さくなります。

  • 退職手当|勤続年数によって大きく変わります。辞める時期によって金額が変わるため、事前に確認しておく価値があります。
  • 共済から健康保険への切り替え|公立学校共済組合の給付内容と、転職先の健康保険組合の内容は同じではありません。
  • 住宅手当・通勤手当|転職先に無い、あるいは上限が低いことがあります。手取りへの影響は小さくありません。
  • 賞与の実績|「賞与年2回」と書かれていても月数は会社によって違います。前年度の実績月数を聞いておくと確実です。
  • 昇給の仕組み|教員は年齢とともに上がりますが、民間は評価によって差がつきます。入社3年後にどうなっているかを聞いておくと判断しやすくなります。

よくある質問

教員から転職すると年収はどれくらい下がりますか?

掲載231件の平均では30万円(562万円→537万円)の減少でした。年代によって差が大きく、30〜34歳では下げ幅が小さく、45歳以上では117万円の減少です。教員の給与は年齢とともに上がるため、年齢が高いほど下げ幅は大きくなります。一方、教育業界内で経験を活かす転職や、成果給のある営業職では、下げ幅が小さい例もあります。

教員の年収は民間より高いのですか?

同年代の平均と比べると、低くはありません。特に30代以降は、賞与が約4.5か月分あることと、複数の手当が乗ることで、額面の年収は民間の平均を上回ることが多くなります。ただし労働時間が長い分、時間あたりで見ると評価は変わります。

年収が下がってでも転職する価値はありますか?

これは人によります。判断の軸を先に決めておくことをおすすめします。「同じ時間働いたときの手取りで比べる」「5年後にどうなっているかで比べる」「金額ではなく生活で比べる」など、自分の基準を1つ決めておくと、提示額に振り回されずに済みます。

特別支援学校の教員は転職で不利ですか?

不利ではありませんが、下げ幅は大きくなりやすい点は知っておく必要があります。掲載15件の平均は686万円→585万円で、93万円の減少と全校種で最大でした。特殊教育に関する手当のぶん転職前の年収が高いためです。経験そのものは、個別の支援計画を作って回してきた実績として、人事や福祉分野で評価されており、転職先は医療・福祉4件、IT・SaaS3件、官公庁・自治体3件と分かれています。

退職金はいつ辞めるのが得ですか?

勤続年数の区切りによって支給率が変わるため、自治体の規程を確認してください。年度末での退職か年度途中かでも変わることがあります。金額が数十万円単位で変わる可能性があるので、辞める時期を決める前に、事務室や共済の窓口で試算してもらうことをおすすめします。

自分に近い条件で事例を探す

校種・転職したときの年齢・転職後の職種から、実際の事例を検索できます。転職前後の年収、転職活動の期間、選考の通過状況まで、1件ずつ確認できます。

年代から探す場合は 25〜29歳/30〜34歳/35〜39歳/40〜44歳、校種から探す場合は 小学校/中学校/高等学校/特別支援学校 からどうぞ。

あわせて読みたい:教員の転職先はどこ?実際に選ばれている職種と、選ばれる理由

出典

  • 文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)確定値」
  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとにした年代別年収の公開集計
  • 教員転職データベース掲載事例231件の集計(集計日:2026年10月24日)
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この記事を書いた人

教員として教育現場での勤務を経験した後、人材業界へ転職。
転職エージェント時代には、自身の経験を活かして教員から民間企業への転職支援を多数経験し、現在は人事として採用に携わっています。
教員としての当事者視点と、転職支援・採用双方の知見を活かし、本サイトを監修しています。

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