私立学校の教員は、公立とは事情が違います。異動がない、経営状況が待遇に直結する、雇用契約が学校ごとに異なる——この3つが、転職を考えるときの前提を変えます。掲載事例229件のうち、私立学校の教員から転職した事例をもとに整理します。
公立と違う3つのこと
1. 異動がない
公立教員には数年ごとの異動があります。人間関係や校風が合わなくても、待てば環境が変わる可能性があります。私立にはそれがありません。合わない環境は、辞めない限り続きます。これは私立教員が転職を考える最も大きな理由のひとつです。
裏を返せば、合っている環境なら腰を据えて働けるということでもあります。いま感じている不満が、環境そのものによるものか、時期的なものかを切り分けるところから始めてください。
2. 経営状況が待遇に直結する
私立学校の収入は、生徒数と学費に依存します。少子化のなかで定員割れが続けば、給与やボーナスに影響が出ます。統廃合の話が出ることもあります。公立にはない、事業体としてのリスクがあります。
掲載事例でも、私立学校の教員は公立より転職前の年収がやや低い傾向があります。ただし法人による差が大きく、公立を上回る学校もあります。
3. 雇用の形が学校ごとに違う
専任・常勤講師・非常勤講師の区分と待遇差は、学校ごとに決まっています。専任になれるかどうかが数年たっても見えないという状況は、私立特有の悩みです。就業規則や退職金規程も学校ごとに異なるため、辞める前に必ず確認が必要です。
雇用形態ごとの事情は常勤講師・非常勤講師の転職で詳しく扱っています。
私立教員が転職で有利になる点
ここはあまり語られませんが、私立教員には民間企業の選考で説明しやすい経験があります。
- 広報・生徒募集の経験|学校説明会、オープンスクール、パンフレット制作。これはそのままマーケティングと広報の実務経験です
- 数字を意識して働いた経験|入学者数、進学実績、退学率。目標に対する結果を意識する働き方は、公立より民間に近いと言えます
- 私学助成や経営の理解|組織がどう回っているかを見てきた経験は、事業企画や学校法人職員の選考で活きます
公立の教員が「数字で評価される環境に耐えられるか」を必ず聞かれるのに対し、私立の教員はこの質問に実例で答えられます。職務経歴書では、この点をはっきり書いてください。
選ばれている転職先
広報や生徒募集の経験があるぶん、教育業界内でも事業側の職種に移りやすいのが特徴です。
| 転職後の職種 | 件数 | 年収の変化(平均) |
|---|---|---|
| 教室長・スクールマネージャー | 8件 | 554 → 538万円 |
| 教育コンサルタント | 9件 | 642 → 599万円 |
| 広報 | 10件 | 506 → 481万円 |
| 学校事務・学校法人職員 | 12件 | 585 → 520万円 |
| 教材編集・制作 | 9件 | 549 → 491万円 |
辞める前に確認すること
- 就業規則の退職の申し出時期|「3か月前まで」としている学校もあります。公立の慣行とは別に、規則を読んでください
- 退職金規程|私学共済とは別に、学校独自の規程があることがあります
- 私学共済から国民年金・厚生年金への切り替え|手続きの窓口が変わります
- 年度途中の扱い|私立は年度末の慣行が公立ほど強くない場合があります
よくある質問
私立から公立に移るという選択肢はありますか?
あります。採用試験を受け直すことになりますが、教職経験者向けの選考区分を設けている自治体もあります。ただし年齢制限がある自治体が多いので、早めに条件を確認してください。教員を続けたいが環境を変えたい、という場合の現実的な選択肢です。
私立教員だと転職で不利ですか?
不利ではありません。むしろ生徒募集や広報に関わった経験は、公立教員にはない強みです。学校名を書く必要はないので、何を担当して何が変わったかを数字で書けるかどうかが分かれ目になります。
専任になれるか分からないまま働き続けるべきでしょうか
まず管理職に、専任登用の基準と時期を具体的に確認してください。明確な答えが返ってこない場合、待っても状況が変わらない可能性があります。年齢が上がるほど転職の選択肢は狭くなるので、確認したうえで判断することをおすすめします。
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