体調を崩したまま転職活動をすると、判断力が落ちた状態で条件を決めることになります。順番は、休む → 回復する → 考えるです。この記事では、教員が使える休みの制度と、復職と転職のどちらを選ぶかを考える手順を整理します。
なお、この記事は制度と一般的な進め方の説明です。診断や治療の判断は、必ず主治医にご相談ください。
体調を崩す教員はどれくらいいる?
文部科学省の調査によると、精神疾患による病気休職者数は令和5年度に7,119人で過去最多となりました。全教育職員の0.77%にあたります。前年度から580人増えています。
休職の要因として多いのは、児童・生徒への指導そのものに関すること、職場の対人関係、校務分掌や調査対応などの事務的な業務でした。
背景には勤務時間があります。教員勤務実態調査(令和4年度)では、月の時間外勤務が45時間を超える教員は小学校で64.5%、中学校で77.7%。80時間を超える教員は中学校で57.7%にのぼります。
個人の弱さの問題ではありません。ここを取り違えると、判断が遅れます。
使える制度
公立学校の教員には、段階的な制度があります。名称や日数は自治体によって違うため、必ず事務室や共済の窓口で確認してください。
- 年次有給休暇|まず使えるのがこれです。診断書は不要です。
- 病気休暇|診断書が必要ですが、多くの自治体で有給。90日程度が上限とされることが一般的です。
- 病気休職|病気休暇の期間を超えても回復しない場合に移行します。最長3年程度で、当初の一定期間は給与の一部が支給されるのが一般的です。
- 公務災害の申請|業務が原因と認められれば対象になる場合があります。認定のハードルはありますが、選択肢として存在します。
大切なのは、辞める前にこれらが使えるということです。退職してしまうと、これらの制度は使えなくなります。
休職中に転職活動をしていい?
法律で禁じられているわけではありませんが、注意点があります。
- 療養が目的の期間である|休職は治療のための制度です。回復していない段階で活動を始めると、選考中に体調を崩すことがあります。
- 面接で説明が必要になる|在職中の扱いになるため、現在の状況を聞かれます。隠すより、回復の状況と、次の職場で働ける見通しを説明するほうが結果的に通りやすくなります。
- 復職の可能性を残せる|休職のまま活動すると、復職か転職かを最後まで選べます。
主治医と相談したうえで、動ける状態になってから始めるのが現実的です。
復職と転職、どちらを選ぶか
判断の材料になるのは、「何が原因だったか」と「それが変えられるか」の2つです。
| 原因 | 異動・配置換えで変わるか | 転職で変わるか |
|---|---|---|
| 特定の人間関係 | 変わる可能性が高い | 変わる |
| 担当学年・校務分掌 | 変わる可能性がある | 変わる |
| 部活動の負担 | 顧問の変更で変わることがある | 変わる |
| 労働時間全体 | 変わりにくい | 変わる |
| 評価や制度のあり方 | 変わりにくい | 変わる |
上の2つが原因なら、まず異動を検討する価値があります。下の2つが原因なら、転職のほうが確実です。
掲載事例には「体調を崩したことがきっかけ。働き方を変えないと同じことを繰り返すと思い、動き始めた」という記録があります。掲載229件では、転職後の残業時間が平均で月40.0時間減っています。
転職する場合に選ばれている働き方
掲載事例のうち、転職後の残業が月20時間以下になった事例は32件あります。多いのは次の職種です。
- 事務・バックオフィス|勤務時間が最も読みやすくなる選択肢。ただし年収は下がりやすくなります
- 総務/経理|繁忙期はありますが、日常の時間は安定します
- 学校事務・学校法人職員/大学職員|教育に関わりながら、勤務時間が定まります
- 人事|制度の側から働き方に関わる仕事です
逆に、コンサルタントや営業職は残業が比較的長くなります。体調を優先するなら、職種選びの段階で分けて考える必要があります。
よくある質問
休職したら経歴に傷がつきますか?
職務経歴書に休職期間を書く義務はありませんが、在職期間として記載するため空白の説明を求められることはあります。回復していること、次の職場で働ける状態であることを説明できれば、それ自体が不採用の理由になるとは限りません。
診断書はどこでもらえますか?
心療内科・精神科で受診し、必要と判断されれば発行されます。自治体によって共済の相談窓口や産業医面談の仕組みがあります。まず事務室で確認してください。
辞めてから休んだほうが早いのでは?
退職すると病気休暇・病気休職の制度は使えなくなり、収入が途切れます。制度が使えるうちに休むほうが、経済的にも回復のうえでも負担が小さくなります。
誰に相談すればいいですか?
体調のことは主治医、制度のことは事務室や共済の窓口、業務量のことは管理職が窓口です。一人で抱えないことが最初の一歩になります。
働き方が変わった事例を見る
各事例には、転職前後の残業時間と「働き方・生活はどう変わったか」が記録されています。
あわせて読みたい:教員を辞めたいと思ったとき、最初に確認する5つのこと
出典
- 文部科学省「令和5年度 公立学校教職員の人事行政状況調査」
- 文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)確定値」
- 教員転職データベース掲載事例229件の集計(集計日:2026年10月23日)
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