女性教員の転職|育休の手厚さと、それでも辞める理由

女性教員の転職 育休の手厚さと現実

教員は女性の比率が高い職業です。文部科学省の調査では、小学校の教員の約6割、中学校の約4割を女性が占めています。それだけに「この働き方を、この先何十年続けられるのか」という問いは、女性教員にとって具体的な形で立ち上がります。

この記事では、掲載している転職事例229件をもとに、女性教員が転職を考えるときに実際に論点になることを整理します。

目次

「女性だから不利」という話ではない

先に整理しておきたいのは、教員からの転職で問われるのは、性別ではなく「何をやってきたか」と「どう働きたいか」だということです。学級を1年間運営した、保護者と関係を切らさずに話を進めた、限られた時間で準備を組み立てた——こうした経験の説明のしかたに、性別による違いはありません。

そのうえで、女性教員に固有の論点として実際に出てくるのは、次の3つです。

  • 出産・育児と、転職のタイミングをどう重ねるか
  • 産育休の取りやすさを、公立と民間でどう比べるか
  • 復職後の働き方を、転職で変えられるのか

公立教員の育休は、民間より手厚い

ここは正直に書きます。制度だけを比べれば、公立学校の教員は民間企業よりかなり恵まれています。

  • 育児休業は子が3歳になるまで取得できる(民間は原則1歳、最長2歳)
  • 部分休業・育児短時間勤務の制度が整っている
  • 取得実績が多く、職場に前例がある

この差は小さくありません。「子どもが小さいうちは制度の手厚い公立に残り、落ち着いてから動く」という判断は、十分に合理的です。実際、掲載事例でも30代前半から半ばにかけての転職が多く、育休から復職したあとに動いている人が目立ちます。

では、なぜ辞めるのか

制度が手厚いにもかかわらず転職する理由として、掲載事例でよく挙がるのが「制度はあるが、時間そのものが足りない」という点です。

時短勤務を取っても、担任を持てば朝の会から放課後の対応まで責任は残ります。保護者からの連絡は時間帯を選びません。行事の前は持ち帰りが増えます。制度上の勤務時間と、実際に必要な時間が一致しない——この構造が、育児と重なったときにはっきり表面化します。

掲載事例では、転職によって残業時間が平均で月40.0時間減っています。年収は平均で561万円から537万円へ変わり、下がる人のほうが多数派です。「収入を少し落として、時間を取り戻す」という交換が、この選択の中身になります。

動くタイミングの考え方

  • 出産前に動く|転職直後の妊娠は、産育休の取得要件(勤続1年以上とする会社が多い)に引っかかることがあります。時期を計算しておく必要があります
  • 育休中に動く|時間はありますが、育休は復職を前提とした制度です。復職せずに退職すると給付の扱いが変わることがあるので、先に確認してください
  • 復職して数年たってから動く|掲載事例で最も多いのがこの形です。育児のリズムが落ち着き、かつ30代のうちに動けます

年代ごとの違いは30〜34歳の事例や35〜39歳の事例で確認できます。

選ばれている転職先

働き方を変えることが目的の場合、勤務時間が読める職種が選ばれます。掲載事例では次のような転職先が多くなっています。

転職後の職種件数年収の変化(平均)
事務・バックオフィス16件471 → 443万円
学校事務・学校法人職員12件585 → 520万円
大学職員9件691 → 589万円
キャリアアドバイザー12件498 → 506万円
カスタマーサクセス13件542 → 552万円
集計対象:掲載事例229件/集計日:2026年10月23日

いずれも年収は下がる傾向がありますが、勤務時間が読めるようになります。一方でキャリアアドバイザーやカスタマーサクセスのように、下げ幅が小さいか横ばいの職種もあります。人と話す仕事が続けられる点でも、教員からの転職先として選ばれています。

選考で確認しておきたいこと

  • 産育休の取得実績|制度の有無ではなく、実際に何人が取って何人が戻ったかを聞く
  • 時短勤務の上限|子が何歳まで使えるか。3歳までと小学校入学までで大きく違います
  • 残業の実態|平均ではなく、繁忙期の数字を聞く
  • リモートの可否|子どもの急な発熱に対応できるかどうかが変わります

これらは面接で聞いて構いません。むしろ数字で答えられる会社かどうかが、その会社を測る材料になります。

よくある質問

教員を辞めると、育休の手厚さを失うのが不安です

実際にそのとおりで、制度だけを見れば公立教員のほうが有利です。だからこそ「子どもが小さいうちは残る」という判断は合理的です。逆に、制度を使いきったあとで働き方そのものを変えたい場合は、転職が選択肢になります。どちらを取るかは、いま何に困っているかによります。

転職してすぐ妊娠したら、育休は取れますか?

会社の規定によりますが、労使協定で「勤続1年未満は対象外」としている会社が多くあります。時期を計算に入れて動くか、入社前に規定を確認しておくことをおすすめします。

ブランクがあると不利ですか?

育休によるブランクは、経歴として説明のつくものです。それより問われるのは、教員として何をやってきたかと、これからどう働きたいかです。空白の理由を短く述べたら、あとは経験の話に進めて構いません。

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この記事を書いた人

教員として教育現場での勤務を経験した後、人材業界へ転職。
転職エージェント時代には、自身の経験を活かして教員から民間企業への転職支援を多数経験し、現在は人事として採用に携わっています。
教員としての当事者視点と、転職支援・採用双方の知見を活かし、本サイトを監修しています。

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